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知床エクスペディション 5日目 2018年9月20日

5日目の知床。
ようやく知床岬をウトロ側から羅臼側にまわる日。

朝のうちは風が強いけれど、次第に落ち着く見込みだから、
ゆっくり朝食を食べて様子をみてから出ましょう、とのこと。
いつもよりゆっくりめに出艇。
みんな前日の大荒れの海の記憶が新しく、少々緊張気味。
そんな状況でも私はとっても笑顔だったみたいで、みんなに感心されました。
怖さがなかったわけではないけれど、やっぱりわくわくしてたみたい。

風は少し強め。でも前日ほどではない。
ひたすら漕ぎ続けて、なんだかんだと前の日に歩いて辿り着いた知床岬の灯台が見えてきた。
ああ、感動。ついに半島の反対側に出られるんだ。
みんなとても嬉しそうで、記念すべき瞬間、といった感じでした。

羅臼側に出ると海の様子はまた変わって、向かい風が多くなる。
そういうときはちょっとしんどい。どうやったら風の抵抗をあまり受けずに進めるか、
研究しながらまたひたすら漕ぐ。
風が弱まるとみんな笑顔になって、写真を撮り合ったり。
なんとなく旅は終わりに近づいている感じがあった。

この日の宿泊地はペキンの鼻。その一歩手前の湾で新谷さんが漕ぐのをやめて、いろいろな話を始めた。
この日の天候はそれなりに良かったので、そのときは感じなかったけれど、
この場所も結構な難所だということ。以前のツアーでここからひとつ先のペキンの鼻までがどうしても漕げず、
崖をシーカヤックを担いで登ってペキンの鼻に出たとのこと。
同じ海なのに、そんなに違うのか。

旅から帰ったあとに教えてもらった「裂けた岬」という本で読んだ、
昔この場所で本当にあった人食事件の船長たちが流れ着いた場所もここ。
荒れた海に投げ出された船長と船員たちは大吹雪の中ここから陸に降りて
あの崖を越えてペキンの鼻の番屋まで辿り着いたということ。
今写真を見返すとそれを想像してなんともいえない気持ちになります。
それだけここは厳しい場所で、平和にここまで来れた私たちはとても幸運だということ。

難所も越えてペキンの鼻に到着。着いてすぐ、遠くにテントを張らないこと、
1人で見えない場所にトイレ等に行かないこと、などなど指導される。
それもそのはず、川には普通にヒグマがいて、真剣にカラフトマスを獲っている。
その様子をしばらくみんなで見ていたけど、見飽きるほどずっといるので、
ひとまずみんな自分のテントを張りにいったり、各々好きなことをし始める。
クマがいるのが普通になっている雰囲気。なんだかとてつもない状況だなあとしみじみ。
私はさっさとテントを張って、海辺にわんさか集まっているカラフトマスを観察して、
ちょっとつかみ取りしたりして遊んだあと、川でカラフトマスの遡上のものすごさに感心していました。
調子に乗って川の上の方まで少し歩いたら、上からヒグマがのそのそ歩いて来て、
はじめての「クマが出た!」という状況にちょっとびびりながらも、
意外と冷静にちょっとひくことができました。

その後もクマを刺激しない距離を置きながら、ずっとクマの観察。
あいつ、バカだなあ。そんなにざぶざぶ川に入ったらみんな逃げちゃうよ。
あんなに食べてお腹いっぱいにならないのかな?もうちょっと綺麗に食べればいいのに。
などなど、クマさんにごちゃごちゃ小言を言いながら、楽しい時間を過ごしました。

しばらくして、新谷さんが鳥居に行くよ、と。
ペキンの鼻の鳥居は、新谷さんが建てなおして、それから毎年ペンキを塗り直しているそうです。
ペンキを片手に、崖を登っていく。崖の上からの海の眺めがまた最高でした。
鳥居について、なんともいえない表情で鳥居を塗る新谷さん。
次第にみんな交代して、みんなで少しずつ、想いを込めてペンキを塗りました。
作業が終わってほっとしたときに、ようやく頼んでみた、「一緒に写真を撮ってください!」
新谷さんはいかにもそういうの苦手そう。だからなかなか言い出せなかったのだけど、
どうしてもこの場所で一緒に撮ってほしくて、勇気を出して頼んでみました。
とても照れくさそうに、でもちょっと嬉しそうにしてくれて、あのとき撮ってもらった一枚は本当に宝物です。
一緒に旅ができてよかった。このツアーに来れて本当によかった。
この瞬間あたりで私の旅は完全に満足モードで、カメラの電池もちょうど切れてしまって、
ここから先の写真は全部みなさんからのもらいものです。

電池が切れたのは悲しかったけど、でもとても満足していたので、まあいいか、という感じ。
あの満たされた感じは、今でも忘れられない。欲しかったものがまるっと手に入ったような、
多幸感、満ち足りた感覚、なんだろう、この上なく幸せでした。

最後の夜。
いつもより長めにみんなと話し込む。
知床の夜が名残惜しくて。いろんな人と、いろんな話をしました。
夜はカラフトマスの遡上がさらにパワーアップして、川じゅうマスだらけ。
こんな光景、他では絶対見られない。人生これ以上はもうないだろうというような瞬間の連続。
本当にそんな旅でした。

6日目に続く

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07:45 防氷堤の手前の湾 出艇

10:00 男滝 女滝

11:30 ペキンの鼻

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